母美代さんは大の家事嫌い。

特に料理に関しては大大大嫌い。
調理法や調味料をあれこれ考えるのが苦手だと言う。
だから、単に焼く煮るだけの料理に関しては苦にはならない。

父と母が結婚するとき、詳しくは聞いていないが「料理はしなくてもいいから、女の務めだけはきちんとしてほしい」みたいな取り決めがあったらしい。

子どもの頃の運動会、発表会などのお重箱弁当は常に父の手作り。
洋服選びも買ってくれるのも父。(母の洋服に関しても)
長い髪の毛を三つ編み、ポニーテールに結ってくれるのも父。
縁日に浴衣を着せてくれるのも父。
高校生くらいまで、おせち料理も作ってくれてました。

母がどうこうではではなく、料理好きなことも含め、女性がやるべきこと全般が父にとっては苦にはならずに、もしかしたら楽しくさえあったのかもしれない。
だから、真逆の美代さんとも利害関係とまでは言わないが、そこそこ合っていたのだろう。

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料理嫌いな美代さんでも得意料理があって、それはお煮しめ。
何故か、食材をただただ煮込むだけ、調味料も決まったもので済む。(当時はめんつゆがなく、煮干し、醤油、みりんで味付け)(美味しかった)
それから、漬物作り。

ここで暮らすようになってから、「たまには自分で料理してみる?」と聞くと、「いやだいやだ!なんもしたぐね」と言う。
それでも、昼食のそうめんは自分で茹でて味付けをしている。
何故か、調味料が俗にいう【めんつゆ】で済むから。

あたしはめんつゆは滅多に使わない。あ~隠し味程度に使うかな~。

スーパーへ一緒に買い物に行って
「お肉、買おうか?、どうやって食べたい?」

「肉なら美味しいべ」


「じゃなくて、どういう風に調理して食べたい?」


「知らね、何でもいい」


「そろそろ暖かくなるね、春物探してみようか?どんな服が着たい?」

「まだ寒い、いらね」


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こんな具合で、一般的な母娘が楽しむような会話にはならない。
正直淋しい・・・泣きたくなるときもある。
それを言うと、「わるな~、こったな親でよ・・・」と言い、それこそ悲げな顔をする。

離れて暮らしていた17年間。お盆、お正月、GWは必ず帰省していた。
              

Ⅱにつづく。


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