10ほど前、父が認知症になったとき専門誌を買って熟読した。
母美代さんにも勉強してもらいたかったが、本を読むのが苦手な人なので読んだ内容をその都度教えていた。

接するにあたって重要なことは、介護する人が演技をすることとあった。
例えば、女優男優の気持ちになって接する。

当時のあたしは離れて暮らしていたので、父の細かな症状については知り得ない。
介護している母は、父の症状に違和感を感じる度に電話してきた。

母に対して、
「じいちゃんがおかしなことを話したら女優になって接するんだよ」
「オレにでぎるがな?」
「一番やっちゃいけないことは、怒らせることなんだって」
「そだのが」

女優になって演技するなど到底できることではなく、
「そったな病気、エイッヤッて気合で治すものなんだ!」
病気の父に対しての当時の母の言葉だ。

今朝、一つ判明した。
降圧剤をストップしたので、10日ほど前から毎朝血圧を測り始めたのだが、その際、
「1度に2回測るんだよ。1回目が終わったら深呼吸して2回目だよ」
「わがった」

毎朝、2回測ることを訊いてくる。(測る回数)
「そうだよ。忘れちゃった?」
「そゆふに聞いだ気もする」とか「わがってる」の返事。

今朝も訊いてきたから、
「最初に2回ずつ測るって話したよね?」
「いや、1回としか聞いでね・・・あっ」
しまった。という顔をして口元に手が行った。
「そっか、1回としか聞いてないか・・・」
母は1回と認識していた。だから毎朝訊いてくるのね。

結局、「そういう風に聞いた気がする」は、自分の認識を隠すためと覚えられないためのその場しのぎの取り繕いだったのね。
そう言えば「~~気がする」って言葉、ちょくちょく出てるな~。

父のときのこともあるから、あたしも女優にならなきゃって思ってたけど、まだ大丈夫って思ってた。

あ~~~助演女優賞獲得~~~
      くらいの演技力が必要かな~?


ま~、完璧を目指したら身がもたないと思う。正直な体質で母と暮らし始めてから体重が3キロ落ちた・・・
母は2キロ増えたけど・・・


誰の親でもない、あたしの親。

願わくば、この先ゆう~っくりと進んでいきますように。


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