2021.3.29(月)
母美代さんの認知症は、日ごとに進んでいるような気がする。
「トイレは外に在るのか?靴を履いて出て行くのか?」
「トイレは玄関の隣だよ。今時外にトイレが在る家なんて無いと思うよ」
「トスえはそどだっけ。そどさあるっけ。トスはまやで寝でるのが?」
(トスさんの家のトイレは外、厩)
トスさんは母美代さんの弟で、生家のナガゼギの家を継いでいる。
最近は父が何処で何をしているのかと言わなくなった代わりに、トスさんを心配することが多くなっている。
トイレに行くと言い出し戸を開けたが、ここからトイレに行けるのか?と訊いてきた。
毎日同じ事をしているのに、毎日忘れる。
ついさっき、トイレの場所を教えたのに、一瞬で飛んでしまう。
ここは茨城県古河市だが、美代さんは岩手に住んでいると思い込んでいる。
トスさんの家も、路地を曲がってすぐのところにあると言ってくる。
金曜日の、美容室の帰りに訊かれた。
「今はどの辺りを走っているのだ?ここらに、まつ〇りがあるはずだ」
(しまむらの様な、地元の呉服店)
「まつ〇りはここら辺ではないよ。もう少し道が狭い所にあるんだよ。暫く外を歩いていないから、忘れちゃったかもね」
「そうがもしれね・・・」
古河市なのだから、まつ〇りはないよと、言ってしまいそうになった。
迷女優は、その都度迷いながらの名演技をしなければならない(苦笑)
すぐに忘れるのだから、古河市であることを言っていいのかもしれないが、そうなるとなぜ古河市に住んでいるのかと、そこからの説明になってしまう。
全てを忘れるわけではないから、そこが面倒くさい所だ。
生前遺影の写真を撮って来た。
てっきり、嫌々をするのかと思っていたが、二つ返事で「いいよ」と。
写真が無いことは解っていたようで、先日の帰省から持ち帰ったブラウスを着せた。
肩パットが入っている昔流行ったブラウスだが、ユカの一言で決めた。
「なるべく、白っぽい物を着せた方がいいよ。ライティング効果があるからね」
岩手を出る際に持って来た写真の中の1枚に、家族で沿岸に遊びに行ったときに写したものがる。
30年近く前の写真だが、その時に来ていたブラウスで、その写真を見せ同じ服だと教えたが、美代さんはきれいに忘れていた。
まぁ、致し方なし。
当時は50代後半で、髪の毛も黒く染め体型も今よりも細く、ブラウスのウエスト部分には余裕が観られていた。
年月は残酷だと思う。
口紅を差す習慣がないあたしなので、100均で購入したものを用意。
紅筆で綺麗に差してあげ、チークを薄く延ばしてあげた。
写真スタジオの入口は昇り降りの階段が2段ずつあり、結構しんどかった。
なかなか上がれずにいると、有難いことに、店主が足を持ち上げてくださった。
美代さんを外に連れ出し、歩きまわることはもはや困難なことで、そのことは本人も自覚している。
口を閉じている写真と、少しだけ歯が見えている写真の二通り6枚の中から、1枚ずつ削除して最後に残ったものが遺影写真となる作業。
それにはあたしの判断が必要とのことで、パソコンの前で1枚ずつを確認。
が、どうしても判断できない最後の1枚については、プロの目に委ねた。
「目の輝きと口元で笑顔は決まります。それが自然に観える方はこちらですね」
「そうですね、こちらの方が自然ですね」
心の中で選んだ方と同じだった(良かった)
出来上がりは4~5日後で、連絡をくださるとのこと。
車中で、
「美代さん、とっても綺麗に撮れてたよ。もう、いつ死んでもいいね」
「そが。でもよ、準備しておぐど、ながなが死なねものだ」
ハイハイ、あなたは100歳まで生きるのよね(苦笑)
あれほど写真を撮られることを嫌っていた美代さんだが、斜視であることも気にせずに撮ることができたのは、「ハイ、いいですよ~。そのままでね~」と、店主のすり鉢の効果かも(笑)
出来上がりが楽しみだ。
母美代さんの認知症は、日ごとに進んでいるような気がする。
「トイレは外に在るのか?靴を履いて出て行くのか?」
「トイレは玄関の隣だよ。今時外にトイレが在る家なんて無いと思うよ」
「トスえはそどだっけ。そどさあるっけ。トスはまやで寝でるのが?」
(トスさんの家のトイレは外、厩)
トスさんは母美代さんの弟で、生家のナガゼギの家を継いでいる。
最近は父が何処で何をしているのかと言わなくなった代わりに、トスさんを心配することが多くなっている。
トイレに行くと言い出し戸を開けたが、ここからトイレに行けるのか?と訊いてきた。
毎日同じ事をしているのに、毎日忘れる。
ついさっき、トイレの場所を教えたのに、一瞬で飛んでしまう。
ここは茨城県古河市だが、美代さんは岩手に住んでいると思い込んでいる。
トスさんの家も、路地を曲がってすぐのところにあると言ってくる。
金曜日の、美容室の帰りに訊かれた。
「今はどの辺りを走っているのだ?ここらに、まつ〇りがあるはずだ」
(しまむらの様な、地元の呉服店)
「まつ〇りはここら辺ではないよ。もう少し道が狭い所にあるんだよ。暫く外を歩いていないから、忘れちゃったかもね」
「そうがもしれね・・・」
古河市なのだから、まつ〇りはないよと、言ってしまいそうになった。
迷女優は、その都度迷いながらの名演技をしなければならない(苦笑)
すぐに忘れるのだから、古河市であることを言っていいのかもしれないが、そうなるとなぜ古河市に住んでいるのかと、そこからの説明になってしまう。
全てを忘れるわけではないから、そこが面倒くさい所だ。
生前遺影の写真を撮って来た。
てっきり、嫌々をするのかと思っていたが、二つ返事で「いいよ」と。
写真が無いことは解っていたようで、先日の帰省から持ち帰ったブラウスを着せた。
肩パットが入っている昔流行ったブラウスだが、ユカの一言で決めた。
「なるべく、白っぽい物を着せた方がいいよ。ライティング効果があるからね」
岩手を出る際に持って来た写真の中の1枚に、家族で沿岸に遊びに行ったときに写したものがる。
30年近く前の写真だが、その時に来ていたブラウスで、その写真を見せ同じ服だと教えたが、美代さんはきれいに忘れていた。
まぁ、致し方なし。
当時は50代後半で、髪の毛も黒く染め体型も今よりも細く、ブラウスのウエスト部分には余裕が観られていた。
年月は残酷だと思う。
口紅を差す習慣がないあたしなので、100均で購入したものを用意。
紅筆で綺麗に差してあげ、チークを薄く延ばしてあげた。
写真スタジオの入口は昇り降りの階段が2段ずつあり、結構しんどかった。
なかなか上がれずにいると、有難いことに、店主が足を持ち上げてくださった。
美代さんを外に連れ出し、歩きまわることはもはや困難なことで、そのことは本人も自覚している。
口を閉じている写真と、少しだけ歯が見えている写真の二通り6枚の中から、1枚ずつ削除して最後に残ったものが遺影写真となる作業。
それにはあたしの判断が必要とのことで、パソコンの前で1枚ずつを確認。
が、どうしても判断できない最後の1枚については、プロの目に委ねた。
「目の輝きと口元で笑顔は決まります。それが自然に観える方はこちらですね」
「そうですね、こちらの方が自然ですね」
心の中で選んだ方と同じだった(良かった)
出来上がりは4~5日後で、連絡をくださるとのこと。
車中で、
「美代さん、とっても綺麗に撮れてたよ。もう、いつ死んでもいいね」
「そが。でもよ、準備しておぐど、ながなが死なねものだ」
ハイハイ、あなたは100歳まで生きるのよね(苦笑)
あれほど写真を撮られることを嫌っていた美代さんだが、斜視であることも気にせずに撮ることができたのは、「ハイ、いいですよ~。そのままでね~」と、店主のすり鉢の効果かも(笑)
出来上がりが楽しみだ。
美代さんは、昔のできごとは覚えておられますか?!
うちの母は、徐々に認知症が進み、5分前のことも覚えていない状況ですが、「昔のことはよく覚えている」と豪語していました。
昨日、テレビで「鑁阿寺」が放送されたので、「30年くらい前、はとバスで一緒に、鑁阿寺やフラワーパーク等に行ったね」と尋ねてみると、「そんなこと、かけらも覚えていない」と・・・自宅(京都)からわざわざ、北関東まででかけていったのは、大きなできごとだったはずなのに、この件についての全ての記憶が失われていました。結局、今のことも、昔のことも忘れてしまうのですね。