毎日、新発見。

家に居るときは、食後は入歯を外させ口濯ぎをさせます。
「入歯を外して」と、言っても上下を外してはくれないので「上も下も両方だよ」と、ここまで言わないと理解できません。
外した入歯を洗い、ケースに入れ渡しました。

「今は何も食べねがら、入れねくてもいい」

そうですか、ならばお好きなようにと、放っておきました。
これは、昨日の朝食後の出来事。

お昼時。
お腹が空いているのかを確認し、昼食の支度。
テーブルに用意し「どうぞ」で、あたしはパソコンの前へ。
入歯を入れていないことは解っていましたが、流石に食べるときには入れるだろうと、何も言わずにいました。

黙々と食べ始めた美代さんですが、トイレに立った際に顔を観てみると、何だか違う。
半クシャ顔でモグモグしているだけ。

「美代さん、ちゃんと入歯してるの?」

口を開けさせると、案の定上の入歯なしでした。
下の入歯だけでは当然かみ砕くことはできず、うがい受けの中に咀嚼もどきをした食べカスが、ごっそり。

「どうして上を入れて入ないの?それじゃぁ噛めないでしょ」

「なんだがわがらねども、噛めねがった」(解らない)

・・・あぁぁ~~・・・

上を入れるように促すと、口の中にご飯が入った状態で、入れようとする。

「違うでしょ。ちゃんと下の歯を外して口濯ぎしてから入れるのよ!」


ご飯まみれの下入歯を洗い手渡し、今度こそ上下入れるのを確認。
それにしても、なぜ上を入れなかったの?

訊くと、
① 入れなければならないことは解っていた。
② ケースの中に入っているのも解っていた。
⓷ それでも入れなかった。

これは、入れ忘れたことへのいい繕い・言い訳なのか。
それとも別の何か理由があるのか。
おおよそは、入れ忘れでしょ。
で、何故噛めないのかと疑問に思うことなく、口の中で咀嚼もどき。

昼食後の入歯は、洗ったあとでちゃんと口に言えてもらいましたが、暫くすると上の奥歯に違和感があると言い出し、舌で触ると形がズレてきたと言うのです。

「美代さん、あなた総入れ歯なのよ。形がズレたりはしないよ」

「は?オレ、いづ入歯になったってよ?」

「・・・もうね、何十年も前からよ」

そだてが、知らながった」(そうなのか)

食べる前に上の歯を入れないのは、自分の歯があるから入れる必要がないということ?
食べ終わった後に上を外さないのは、自分の歯だとの思い込み?

今朝、入歯を入れる前に軽く口濯ぎをさせ、その後に「上も下もちゃんと入れてね」と。
食べ終わった美代さんは、歯磨きコップに何故水が入っているのか、それを何に使うのかを訊いてきました。
食べる前にその水で口濯ぎをしたことが、すっかりと飛んでいたということです。

因みに歯磨きコップは、目の中に入れても痛くないというほど可愛い、孫娘のユカから貰ったもので、もう・・・2年くらい使っています。
ユカから貰ったことは当然忘れていますが、2年間使い続けているコップが歯磨きコップ(口濯ぎ用)であることも忘れてしまう。

洗面所では何も不思議に思わずに使えていたものが、場所が変わるとそれが何なのか・何に使うものかも忘れてしまう。これが現実です。

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今日はデイサの日。
デイサでは、到着後に検温・血圧測定をし、そのあとは入浴です。
美代さんはデイサを温泉だと思い始めています。
仲間たちと車で温泉に行き、お昼ご飯を食べワイワイ楽しく過ごして居るところ。

「今日は温泉だよ」

「そが、久しぶりの温泉だな」

一昨日、その温泉に行き、帰って来ると「今日は温泉さ行って来た」と、言っていました。
暫くは、デイサは「温泉」で通すことにします。

デイケアでも、デイサービスでも、温泉でも。
美代さんが楽しければそれで善いのです。

ですが、入歯戦争は暫くは続くでしょうね。