桐ちゃんの食欲は、少しですが戻ってきています。

フライパンを出すと条件反射で、コンロの前でお利口さん座りになり「ねぇねぇ、ちょうだい」とばかりに前脚で「チョンチョン」と催促するのですが、今日はそれはなしでひたすら待っていました。
それでも、食欲が出てきたことは嬉しいことです。
ただ、一番好きなお刺身を出しても「クンクン」ともしないので、それが少し気掛かりです。

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さて、わが母美代さんですが、デイのない日の病気?と戦いあたしや次女に言い含められ、取り敢えず昨日1日を無事に過ごしました。

夕方5時過ぎです、次女からのラインTELが。
「もしもし~」と、出てみると「まーちゃん?」の声。
そうです、孫のハヤブサくんです。
ビデオ画面に切り替えると、大きなマスクで、目しか確認できなかったのですが、紛れもなくハヤブサくんです。
孫・ひ孫に会いたい会いたい病で寝込んで・・・いや、失礼。
夕寝中の美代さんを起こし、代わってあげました。
マスク姿のハヤブサくんを、始めは認識できなかった美代さんですが、声で解ったようで「どうしたの?どうしてそんな大きなマスクしてるの?」

4歳男児のすることです、特別に意味などなくてもしたいからする!だけのようなのですが、美代さんはそれを承知できずにどうして攻撃です(苦笑)
お互いに、言いたいことを一方的に話しているように聞えました。
本来なら、4歳児に話を合わせて聞いてあげることが大切なことだと思うのですが、美代さんにはそれは無理なこと。
5分ほど、意味のないお喋りが続きサキの声。

「ちょっと出かけるから、祖母ちゃん、一旦切るね」

「あ、そがそが。来てくれでありがとな・・・バイバイ、元気でな」

来てくれて・・・ここに来た訳ではありませんが、ここ、大事です。


晩ご飯を食べている最中の美代さんは、ポッと思い出したように、

「なぁ、さっき誰が来てらったな」

「え?誰か来たっけ?」

おどごの子どもだ・・・ハヤブサだ。それに、おっとうもいだっけな。おなごの声もした、あれは・・・サキだな」(男、ハヤブサくんの父親)

・・・あぁ、電話で話したことが、ここに来てくれたことに変換されたんだ・・・
「あ、そう。ハヤブサくん、来てくれたんだ」

「ああ、話でぎでよがったぁ」

東北道片道510キロ。
簡単に行き来できる距離ではありませんが、美代さんはそれも理解できない状態なので、完全な思い込みです。

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昔、妹家族が大宮に住んでいた頃の話です。
お盆帰省を終え、同じ様に東北道走行での帰宅です。
自宅に帰るには岩槻インターで降りると聞いていました。

「そろそろ、下りだ頃だな」

「6~7時間も運転するんだがら、疲れるべな・・・」

亡き父と母美代さんの会話です。
当時は距離も時間もしっかりと認識できていましたが、今は遠い話となってしまいました。

美代さんは、毎日・毎回が初めての出来事が増えています。
初めて聞いた・初めて観た・初めて食べた・初めて行った等々。

これに話を合わせることには葛藤を憶えますが、訂正したところで、またすぐに忘れてしまいます。
最近は「あ、そう」とか「そうなんだ」で、済ませてしまいます。

サキが話していました。

「いんじゃない!祖母ちゃんはそう思って納得しているんだから。誰にも迷惑かけていないし」

でも、思っていることは一緒でした。

「認知症にはなりたくないね・・・