いつ言われたのかも憶えていないけれど、突然「ポッ」と思い出すことが多い美代さん。
肌着姿でウロウロし、いよいよもって服を着るようにと言うと、何を想ったのか突然。

「娘はちゃんとしてるのに、親のごどは何もしね娘だな。て、言われだ」

「はぁ?!」

何それ!あたしが何もしていないって?聞き捨てならないわね!

送迎者の中で、誰かが言っていたことをふと、思い出したそうです。
美代さんは耳の聞こえは善い。本人もそれは自覚している。

「オレ、耳は聞こえるがらよ。誰が言ってらのがはわがらねども、言われだ」

このブログでもお洒落についてを記すことがある。
そう、あたしはお洒落が大好き。
貧乏で服の数もなく、早く働きに出てお給料が出たら沢山服を買うんだ!
そんなことを想っていた高校生で、卒業後はできる範囲でお洒落を楽しんでいた。

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あたしは今は無職。
『鬼娘の介護日記』のあんず様の言葉をお借りすれば「専業介護娘」だ。
介護にお洒落など必要はないのかもしれない。
でも、好きな物は好きなのだ。
だから、毎日化粧もしているし、着回しではあるが、それなりにきちんとした服装で居る。

美代さんはあたしとは正反対な性格で、お洒落の「お」の字もない暮らしだった。
まぁ、生活に追われていたのだから、それも致し方なしだが、娘のあたしたちから手が離れてからもその性格は変わらず、服は「着られれば良い」的な考え方。
旅行の時は、お洒落好きな父が母の服を選んでいたし、バッグやハンカチの用意も父の仕事で、美代さんが何かを準備することなど一切なかった。

そんな母親を観ていたら娘はどうなるか。
絶対美代さんのようにはならない!心に深く決めていた。
あたしのお洒落好きは完全に父親似。

母を嫌っているあたしでも、外出時にはそれなりの恰好をさせていたし、今現在も、どこに出ても恥ずかしくない服装をさせている。
美容室でも、パーマをかけカラーやヘアーマニキュアもさせている。
それなのに「親のことは何もしない娘」と、言われてしまった。
ショック!愕然とした・・・。

認知症老人は考えない。観たまま聞いたままを口にする。
こう考えると、このショックは更なるショックだ。

1年くらい前なら薄化粧もしていた美代さんだが、それも面倒になりファンデーションを観てもそれが何なのか認識できなくなってきた。
どうせ化粧をしないのなら要らないでしょ!
で、残りも少なくなっていたので、心置きなく捨てた。

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肌着が出ていることも気付きません。
観て見ぬふりの口チャックですが、どうなのでしょうね・・・。

これまで、自慢ではないが誕生日だ・母の日だと、服やバッグのプレゼントもしてきたし、古河で同居するようになってからも、着やすさとお洒落感のある服選びもしてきた。
あたしのしてきたことは、何だったんだろう・・・。

ファンデーションは面倒がるけれど、紅を差すくらいの時間はあるね。
口紅を買おうか・・・

汚名返上とまでは言わないけれど、娘らしいこともしていることを解ってもらいたい。
でも、こんなことを考えているから、太れないんだろね・・・。

あぁ~、介護って・・・難しい。


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