夜、シンデレラ時刻近くになると睡魔に襲われる。
部屋に行きベッドに入ればいいものを、ついつい炬燵で転寝してしまう。

母美代さんは、特に観たい番組がある訳でもないのに、TVのスイッチを入れる。
そして、理解できない内容であると、そのままコックリコックリが始まる。

消すように言うと、自分が点けたのではないと言い張る。
観ないTVを点けっぱにするのは、電気代の無駄になるからとあたしに言われていたことが、よほど悔しく心の中に在ったのだろう。

一昨日の夜も、同じ様に転寝していた。
TVは点けてはいなかったが、エアコンは点けっぱで、蛍光灯も煌々と。
トイレに起きた美代さん。

「何してそごさ寝でら?布団さ行げ。エアコン点けでもってねべ。電気代はオレが払ってるのだ。オレだって考えでいぎでるのだ」

電気代は自分が払っている。考えて生きているのだから早く寝ろ。と。
いつになく強い口調で言ってくるので、あたしもついつい言い返した。

「勿体ない?あなただって一晩中電気スタンドを点けっぱなしじゃない!」

「は?オレは点けっぱなしで寝だごど、いじどもね!」(一度もない)

因みに炬燵には電気は入れていません。
にゃんズのソフトあんか2つの温もりで、寝ていました。

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いい言葉に買い言葉・・・
それにしても、一度もないと言い出すとは。
夜中に2~3回トイレに起きる母のために、もう5年ほど前からベッド脇に置ける、小さめのスタンドを置いてあげるようにしていました。

これがあると足元が見え助かると、重宝していたようです。
点けっぱなしで寝ることも容認していました。

美代さんが言うように、さっさと部屋に行けばいいのですが、転寝を気持ちよく思うのはあたしだけではないのでは?
良い習慣でないことは判っていても、そこは・・・ついついなんです。

それにしても、電気代は自分が払っている・・・
考えて生きている・・・

お金の管理もできなくなり、年金受給日を忘れることも。
何より、歩くことがままならなくなり買い物に行く気力もなくなっている。
以前は、年金受給日にはある程度のお金を渡していた。
そのお金を持って買い物にも一人で行けていたが、昨年秋辺りからそれもなくなってきた。
「何々に払うお金なので、出してください」と、毎回美代さんにお伺いしていたが、あたしの方が面倒になり全てあたしが管理するようになった。
美代さんも、それでいいと納得していた。

「手元にお金がないのは寂しい」
そう言われたことがあり、千円札を1枚渡した。
何に使う訳でもないが、美代さんはその金額がお守りだと喜び、小さながま口の中に入れていた。
あたしは、お財布の中にはお金を入れていない。
生活費を小分けにし、必要な分だけをその中から取り出すようにしている。

お金を取り上げられたように感じているのかもしれない。
自分のお金を、あたしが好きなように使っている・・・
もしかしたら、そう思っているのかもしれない。

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美代さんは、87年の人生で、生活費の管理をしたことがない。
水光熱費や、食材の買い出しなどは全て父の仕事だった。

「オレは買い物さも行げね。おがねはオメが仕舞っているべがら、それでいい」

こんな風に言っていた美代さん。
穏やかな認知症だと思っていた美代さんから、
少しずつ勝手な言葉が出るようになってきています。


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