昨日の午前中、美代さんは孫娘のユカへ電話をかけていました。
電話の掛け方が判るかは、その日によって違います。
昨日は調子の善い日だったようです。

実家のある街は、雪かきが必要なくらいの大雪が降ったようです。
美代さんの自室での話し声が聴こえてきました。

「ゆぎかぎは、おや(分家)のアキさんがらしてもらったら、いがったべ」

おやのアキ・・・美代さんの甥ですが、なぜ分家を「おや」と言うのかは、昔からの習わしのようなので。

娘のユカは、アキさんのことは当然知っていますが、「おや」という言葉に「アレッ」と思ったようです。
そう、
最近の美代さんは、自分の家が父と建てた家ではなく、生まれ育った家(本来の実家)だと思い込んでいるのです。
アキさんの家は美代さんの実家のお隣で、県道から50mほど奥まっており、車1台通るのがやっとの細い道。
専業農家のアキさんは、雪かき用の小型除雪機を持っているので、その道路の雪かきをアキさんからしてもらえばよかったでしょ・・・みたいな内容でした。

ユカは、美代さんの話していることをおかしいと思いながらも黙って聞いていたようで、あたしの何倍も聞き流せる、できた娘?(苦笑)本当は、いちいち訊くのが面倒なだけらしいのですが。

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電話が終わった辺りに、ラインしました。
「美代さんね、中関(美代さんの実家のある地区)が自分の家だと思い込んでる」

「やっぱりね~、でも、声がなんだか明るくて前向きな感じがした」

美代さんは、デイケアで足腰が丈夫になったと、褒められたみたいなことも話していたので、その言葉を受けてのユカの感想です。

昼食後に美代さんに訊いてみました。
「美代さんがここに来る前には、どこに住んでいたの?」

「岩手県〇〇市」

「じゃぁ、道路を挟んだお向かいの家は誰の家?」

少し考えて、
「△△の家だ。〇〇爺さんど◇婆さんの家で、~~ていう娘がいで、近所さ●●ていう電気屋あるっけ」

聞いたこともない爺様・婆様の名前が出てきました。
たぶん、美代さんの実家の近所に住んでいた方のことなのでしょう。
もう、30年以上も前になりますが、美代さんの実家のある辺りは区画整理が行われています。
それ以前の面影がほとんどなくなり、この爺様・婆様の家がどこを指しているのか、あたしには解りかねますが、確かに●●電設という古い看板は見かけます。
美代さんの頭の中には、古い記憶がしっかりと入っているのでしょう。

美代さんの返答に「違うよ」とは、言いませんでした。
言うと話が長くなる。
ユカではありませんが、面倒なので聞き流しました。

因みに、
ここ古河に来るまでの、美代さんが住んでいた家(むすめ達が居る家)の向かいにあるのは、亡き父の姉・あたしの叔母の家です。
今は代変わりし、孫夫婦の家となっています。

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昨年の夏辺りから、実家のある中関という地名が、頻繁に出てくるようになりました。

事あるごとに「あっちの家で暮らす」と言う美代さん。
あっちの家とは、どこを指しているのか。

一番長く住んだ、父と暮らした家なのか、
幼い頃から苦労だらけの、辛い記憶しかなかった実家なのか。

美代さんの頭の中には、生まれ育った家が一番記憶に残っている。
そして、その実家で孫・ひ孫に囲まれて暮らしたい・・・

その様に想っているのではないのかと。


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