今日はデイケアもデイサービスも無い日。
母美代さんのフリーデー。

今週末に帰省が迫り、毎度のことながら出る言葉。
「オレ、しばらぐあっちで暮らしてみよど思ってら」(みようと)

・・・ハイハイ、お好きにどうぞ・・・

「でもよ・・・これがら寒ぐなるしどしたらいがんべな・・・」

ここまではいつも通りなのですが、よ~く聞いていると何かが変。
何が?って、美代さんは生まれ育った実家に帰省するつもりでいるのです。

「ねぇ、あなたが帰るのは実家じゃないでしょ。ユカ・サキのいる家でしょ」

「?そが、なんだがあだまのなが、モヤモヤする」

認知症は、昔の記憶が鮮明になると言われていますが、
叔母ヨッコさんとの会話でも、これまでに聞いたこともない事柄が、
次から次へと出てくるのです。

スポンサーリンク


「いいよ、あっちで暮らしても。でも、あっちでもデイに通うんだったら、それなりに手続きが必要になるのよ。それをやるのは誰でもないあたしなのよ。あたしがやらないと、あなたはどこにもお世話になれないのよ」


「そだよな・・・おめにばりめんどかげるな・・・」(お前にばかり)

「まぁ、あっちにいるうちに考えてみて」

「・・・とごろでよ、オレ・・・どごさ帰るのだ?」

「エッ?」

美代さんは、父と二人で建てた家を忘れていました。
可愛いかわいい孫娘のユカ・サキと暮らした家を思い出せないのです。
頭に浮かぶのは、実家や姑が居た嫁ぎ先の家。
助け舟を出し、まわりの風景やお向かいの家のことを教えましたが、自分が長年暮らした家だけが思い出せない。

お昼時だったので、長女のユカにライン電話。
「美代さんね、自分の家が思い出せないんだって、教えてあげて」

ユカは住所を言ってきたようでした。
岩手県〇〇市◇◇第~地割~番地。
これを聴いていた美代さんは一緒に復唱し「あぁ、思い出した」と。
ならば、どこに帰るのかと再度訊いてみると、
「は?わがらね。自分の家・・・思い出せね」

家の写メを送ってもらうことにしました。
たぶん・・・いや、確実に一番長く住んでいた家です。
これがアルツハイマー型認知症なのですね。

f14e984e03394dedf13ebf14d278063e_s

そう言えば、9月の帰省の際には、家の中をウロチョロしてましたっけ。
7月の肺炎入院により、認知機能の低下は一目瞭然でした。
退院時担当医からは、この先3ヶ月で元の状態に戻れば、
その先はゆっくりの進行になると言われていました。

送り盆の8月16日に、仏壇の父の写真を観て「このおどご、誰だ?」と
言っていましたが、あらから4ケ月が過ぎ、今度は家が思い出せないと。

郷愁。
帰る、ふるさとがある。
帰りたい・・・でも、帰る家が思出せない。

この先も、色いろと忘れることが多くなるのでしょう。
でも、明日には思い出しているかも、それが今の美代さんです。

スポンサーリンク