夫が亡くなったとき、一旦実家に引っ込んだあたしですが、半年後に復職。
そのとき、大量の写真を持ってきました。
そのほとんどが、むすめ達がこどもの頃のものです。

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淋しい時や暇なときに見て、ひとりで楽しんでいましたが、
・・・そうだ、美代さんにも見せよう・・・
と、ガサゴソしました。

古い写真を観ることは脳の活性化になり、認知症の進行を遅らせることに繋がる。と、本に記していました。
20~30年前の、殆どがむすめ達との思い出の写真ですが、美代さんが写っているものもあります。
どれもこれも真剣に観ていましたが、懐かしさで観ていたのではなく、写っているむすめ達を判断できずに悩んだ末の真剣さでした。

「なぁ、これ・・・誰だ?おらいさこったないだっけが?」(オレの家に、こんな、いたっけか)

サキが保育園に入る前の、2歳から4歳までは、美代さんに預けて仕事をしていました。
その頃の写真を観ての一言に、愕然。

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まぁ、子どもの顔は変わりますから、それは置いとくにしてもこの後が問題なのです。
またもや、
「これ・・・誰だ?」

「どれ?」
と、観てみると、美代さん本人です。
「えっ?これ、あなただよ。判らないの?」

あなただよと言われた美代さんは、ジ~ッと観ていたのですが、
「これ、ホントにオレが?オレはこったな顔してだのが?」

誰しも若い時代があった訳で、当然美代さんにもあった。
「これがオレが・・・」

その後、自分が写っている他の写真を探し、鏡を見ながら顔を見比べ、
「こったにわががったんだな・・・髪も黒いし・・・」

「そりゃあねぇ、あなたにだって若い頃は在ったわよねぇ」

あたしは59歳。
例えば、小学生の頃の写真を観ても、自分だと言える自信があります。
美代さんは86歳。
50代の頃の写真を観て、自分であるとの判断ができなかったのです。

何だか淋しいですね。
自分の顔が判らないのですから。

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月日は残酷だと言いますが、
それは、どんなに若く美しかったひとでも、年月には逆らえないということ。
中には、いつまでも若いままの方もいらっしゃいます。
どのように保っておられるのやら(笑)

美代さんは、自分の写真を判断できなかった。

老いていく自分を受け入れ、ときに逆らいながら、
そして、認知症とは無縁の人生を送りたいものです。


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