えっ?

とうとうきた・・・。

岩手の実家には、母が揃えた現代仏壇があります。
一昨年、母の引越しでその仏壇に立てていた父の写真を、ここ古河の亡き夫専用の仏壇に置いてあります。

お昼前でした。
仏壇に立ててある父の写真をじっと見て、
「なぁ、きぎてごどある。このおどごの人・・・誰だ?」
(訊きたいこと、男の人)

えっ?マジか?

「じいちゃんだよ。あなたの夫の〇〇おさんだよ」

「〇〇お・・・誰だ?」

うわ~~~!どしよう・・・。

「〇〇お・・・オレはとふやさ嫁に来た。そごに〇〇おっておどがいだ」(豆腐屋・屋号)

そう、それが美代さんの夫であたしの父である、〇〇おです。
「そうだよ、あなたは豆腐屋の末っ子のじいちゃんと結婚したのよ。それであたしが生まれたのよ」

「〇〇おどオレが結婚したのが・・・何となぐおべでる」

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いやいやいや・・・
まだらボケで、良い時・悪い時がある美代さんですが、こんなことを言ってきたのは初めてです。
かだはばの広い、立派な写真だど思ってらったども・・・そが、〇〇おが・・・」

小柄な父でしたが、スーツ姿の写真を立派だと思い、それが誰なのか分からなくなっていたようです。
父が亡くなった日のこと・どのような状態で亡くなったかを、準を追って説明しましたが、亡くなって10年が経つこともすっかり飛んでおり、あたしの説明で、

「そだ~。あのどぎ、ユカだがサキだがが、くぢつけでいぎさせだ・・・」(人工呼吸)

思い出したようです。
病院に担ぎ込まれた父は既に瞳孔が開き、亡くなった状態。
母は、父の身体に縋り付いて泣いたと言っています。
そのことは、今日初めて知りました。

父が65歳、母が62歳のときの写真。

DSC_0468-3

次女サキが小学校4年生の時に、世田谷にある馬事公苑にて、ある催し物があり出演したのですが、その際にホテルで撮った写真だとの説明に、
「この写真も誰なのが、ずっとわがらねでいだ・・・」

1年ほど前に、古いアルバムの中から抜きとり、母の目に入る場所に立てていました。
その際、自ら写真盾の裏に年齢を書いていましたが、字を観て自分が書いたのだと思い出したようです。

まだらボケの今の状態を、母自身も自覚しています。
何故、こんなにも忘れてしまうのかと嘆き、あたしからの詳しい説明で何となく思い出す。
でも、徐々にその説明を聞くのも面倒になり、忘れたことさえ忘れていくのでしょうね。

これまでにも、ドキッとさせられたことが度々ありましたが、今回は、さらに一歩進んだということなのでしょう。

送り盆の今日。
父は、あの世とやらに無事に戻ることができるのでしょうか・・・。


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