昨日の朝、
母美代さんの自室から話し声が聞こえてきた。

洗濯機を廻していたので、誰とどんな内容なのかは聞こえてこず、まぁいつものヨッコさんかな・・・くらいに思っていた。

お昼頃、朝の電話は誰だったのかと問うた。
美代さんは、
「は?オレ・・・誰がど電話したってが?誰ど話したってよ?」

「洗濯機の音で良くは聞こえなかったけど、あなたの話し声は聞こえたよ」

3時間ほどで誰と、どんな内容だったかも忘れる。
こんなものなの・・・。


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2時過ぎ、
「あたし、3時半から美容室だから留守にするよ」

「そが、わがった」

いざ出かける支度をしていると、
どごさが行ぐのが?」(どこかに)

「エッ、美容室に行くって言ったよ。あなた、解ったって言ったよね?」

「・・・おべでね(憶えていない)

聞こえているが、聞いてはいない・・・のでしょう。
要するに、頭に入っていない・・・。

12歳下の妹「ヨッコさん」との内容は、だいたいが昔話。
ヨッコさんの口調も面白おかしく話してくれるので、母も大笑いで楽しそうだが、昨日の誰からの電話で内容も憶えていないとなると、大事な内容であったらどうする?ということになる。

ヨッコさんもそうだが、美代さんの認知症を叔母たちはどこまで理解しているのか?
年を取ればみんなそんなもの。誰でも一緒・・・。くらいの考えなのだろうか?


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10年前、父と夫を立て続けに亡くし、父方の本家長男から手厚い嫌がらせを受けている我が家。
3年前に父方の伯父がこの世を去った。本家を含め、これで縁も切れたと思っている。
残っているのは母方の叔父・叔母たち。
順番でいけば母が最初に逝くことになるが、美代さんを観ているとそうとも思えない。
美代さんは、家で死にたい。自分の遺体を姉妹たちに見てもらいたい。と言う。
泣き崩れる姉妹の姿を自分は空の上から見物でもする。ということなのか?
そのとき、何人の兄弟姉妹が残っているのだろう。

10年前の葬儀の煩わしさを考えると、こじんまりとした家族葬でもいいのではないか・・・。そんな風にも思ってしまう。


そう言えば、夫も亡くなる前は家(岩手)に帰りたいと言っていた。
郷愁なのだろうか、あんなに自由奔放な生き方をしていた夫でさえも、亡くなるときは「家」と言う。

あたしも、いつかは美代さんや夫のような心境になるときがくるのだろうか・・・。

母美代さん。
「デイは楽しい」

そう言って出かけて行った。


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