居間の高座椅子に座り、実家から持ってきた古い会報誌を読みふける母美代さん。

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知っている名前を見つけては、

「あぁ~どごどごの誰々だ~。これは、あそこの誰々だ~」

夢中で知っている名前を探しては、懐かしんでいました。

そして、ときどきあたしに問いかける。

「マダカ、てなんて読む?イサムがイサミが?」

「マダカ・・・勇?いさむ。か、いさみ。でしょうね。美代さんが憶えてるほうの名前だよ」

勇をマダカと表現する。間違ってはいない。
努力の「ど」。「女に又の力と書く」のだと習ったおぼえがあります。

「SどがHって、何だ?」

昭和・平成をローマ字で書き、頭文字のS・Hであることを説明し、ついでに明治・大正についても同じように説明。

認知症になる前は、このSやHについてがなんであるかを知っていたはずなので、確認してみた。

「ねえ、昭和のSや平成のHの事、知らなかったの?」

「いや、知ってだよ。でもな、フッとわがらなぐなる・・・」

普通に使っていた言葉や、字が突然分からなくなる。
さっきまで何度も繰り返していた言葉が、いきなり出てこなくなる。
「うんと~、ほれ、あれよ?なんてひうけなぁ~(言うっけな~)

母はこれを「ど忘れ」と言います。


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美代さんには、お風呂の給湯を仕事として与えています。
この集合住宅のお風呂はとても優れもののようで、「風呂自動」のボタンを押すと、始めにセットした水量で沸かしてくれます。そして、「お風呂が沸きました」と音声で知らせてくれます。引越し経験の多いあたしでも初めてのお風呂で、大変気に入っています。

お風呂の沸かしかたは、ボタンを押し、排水口に栓をして蓋をする。あとは沸くのを待つだけ。
これまでにも何度も入れてもらっています。昨日も入れてもらいましたが、今日変なことを言いました。

「風呂の湯、どごまで入ったが見にいぐのが?」

「えっ、ここのお風呂はボタンを押すだけで湧き上がるのよ。昨日も入れてもらったよね?」

「そだのが?忘れだがらよ・・・。」

洗濯物のカットソーはネットに入れてから、洗濯機に入れるようにと教えています。
一昨日までは完璧でしたが、昨日はネットに入れずそのまま洗濯機に入っており、今夜はネットはもとより洗濯機に入れたかも覚えていないと。
洗濯機の中を確認させると、

「これ、ネットに入れるてが?そだけが?」(入れるのか)

あたしは母に厳しいのでしょうか?
母はまだ経度だと思っています。なるべく自分でやらせています。
11月に行った長谷川式認知症スケールでは23点。限りなく正常値に近い数値でした。

でも、症状は確実に進行しているようです。

あたしの対応、替え時なのでしょうか?考えてみます。


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