今日のことわざは「見ざる聞かざる言わざる」です。
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今よりはるかに若い頃、20代後半から30代前半の頃に足かけ5年半勤めていた会社。
縫製工場に納める工業用ミシンや、それに付随する機械や部品を取り扱う代理店。
本社は東京墨田区にあり、東日本に営業所や出張所が5か所あり、あたしが勤めていたのは盛岡営業所。(辞めた理由は夫の自営を手伝うため)

ここでの5年半の事務経験で、言葉使い・接客・人間関係・心の中の駆け引き・裏表・お酒・・・など、生きていく上での必要なあらゆるノウハウを憶えました。
憶えたくて覚えたのではなく、必要に迫られてと言った方が当たっているように思います。

それまでにも事務経験はありましたが、高校出たての世間のことなど何も知らない小娘が、土木建設会社での事務。気性の荒いダンプのオヤジ連中の中で、母ではありませんが心の裏を読み取ることなどできもせず、毎日が精いっぱいの日々でした。

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この代理店には10歳年上の事務員さんがおり、早い話「お局様」
トップである所長はいましたが、彼女は裏ボスのような存在で、徐々に、
「この人には、たてついてはいけない、黒もグレーもない。この人の言葉が全て」と、自然と学んでいたように思います。

この様に記すと悪いイメージですが、人生経験の中で彼女と出会えたことが最大のめっけもの。それこそ、良いことも悪いことも彼女を観て学ばせて頂きました。

世の言葉に、「公然の秘密」があります。
本人たちだけが気付かず、周りは誰でも知っている。だが、決して声に出して言ってはいけない。
こういうことも、この営業所で覚えたことです。

そう、見ざる聞かざる言わざる。
簡単ではありませんが、それをしないとクビになる。

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当時はバブル期。
メーカー招待旅行というものがあり。
売上の良い営業所から一名だけ招待されるというもの。
年功序列と目標売上達成で、彼女が招待されたのはハワイ旅行。
お餞別以上のお土産を頂きました。有難いことです。

その何年か後に、あたしの番が来た時のことです。(北陸旅行)

「〇〇さん、辞めてもらわなくて良かったねェ」

辞めてもらわなくて良かった・・・あたしはクビになりかけていたというのか・・・。

あの時以来「見ざる聞かざる言わざる」を徹底してきました。
たとえば、秘密にしてねと言われたら必ず守る。くちが裂けても言わない。
むすめ達の会話にも、やたらに入り込まない・聞こえていても聞こえないふり・知らないそぶりを務めてきました。

~今日のことわざ~

『見ざる聞かざる言わざる』

他人のわるい点を見ない、聞かない、また言わない。それが一番処世上安全であるということ。三匹の猿が目耳口をふさいでいる姿を彫ったものを三猿といい、神社などに飾ってある。三猿の教え。

(日東書院発刊 ことわざ辞典より)

母はこの、三猿のことわざ通りのことができません。認知症となる前からできなかったのです。
何度注意しても右から左「わかった、やってみる」と言いながら、それこそ聞き流し状態でした。

かく言うあたしも、こと母のこととなると、そうはいきません。
見えてしまう・聞こえてしまう・ついつい言ってしまう。

母に対しても三猿を徹底できたら、優しい娘で居られるのでしょうか。

いえいえ、こればっかりはあたしでも無理。
これからも、ズルい娘で突き進むのみ。

「辞めてもらわなくて良かった」30年近く前に言われたたったひと言。
今でも記憶の中でくすぶっている、胸の奥底に突き刺さっている、忘れることのできない言葉。



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